研修プログラム

研修の特徴

入局後の流れ

入局1年目のキャリア形成について

大学病院における研修では、基本知識だけでなく最新医療に関する知識も習得することができます。
スーパーローテーション修了後の1年目は原則として名大病院において研修を行います。

1年目は、経験豊富な多数スタッフのもとで眼科の基本知識および基本手技を習得します。名古屋大学病院は広域の最終医療を担う病院であり、東海地方全域から難治症例が集まります。当病院ではこのような重症例を診断、治療するために全国でも有数の最新設備と機器を有しています。

大学病院における研修中には、眼科の基本知識だけでなく一般の市中病院では習得することが困難な最新医療に関する知識も習得することができます

基本知識の習得

1年目は名大病院において入院患者の病態や治療法の理解のために入院患者を担当します。入院中の治療計画を立案し、術前・術後の評価や手術の助手を担当することにより、入院症例の理解を深めます。外来では、検査や外来処置手技の習得のために、スタッフと一緒に外来患者を診察します。

毎週1回、木曜日に研修1年目の医師に対する眼科基本講義を行っており、眼科全般にわたる知識を勉強します。また、毎週月曜日に行われる症例検討会では、手術患者を中心に手術の適応、術式、予想される合併症を検討します。手術手技の習得に関しては、豚眼をもちいた模擬手術による訓練を行った後、熟練した術者の監督の下に、白内障手術から部分的に執刀し、徐々に手技を確立していきます。3年目が終了する頃には白内障手術を安全に執刀できるようになることを目標にしています。

学会発表

名古屋大学眼科は国内および国際学会における学会発表も活発に行っており、1年目の研修中には最初の学会発表を経験します。この準備の段階で、具体的な発表の方法や論文の読み方についてスタッフから丁寧な指導を受けます。また発表した内容はなるべく学術論文にすることを推奨しています。やる気があればその内容を英文論文として投稿することも可能です。

働く環境をバックアップ

収入に関しては、大学病院から支給される給料に加え、眼科一般診療が可能になった時点から市中病院の診療を週に1-2度担当することによる副収入も得られますので、同年代の医師に比較して遜色ない収入を得ることができます。
女性で結婚、出産、育児と仕事との両立について心配のある方も多いと思いますが、当医局では本人の希望を尊重してなるべく柔軟に対応しております。

入局2年目以降のキャリア形成について

2年目以降は、基本的には次の2つのコースに分かれます。

1.名古屋大学の大学院に入学し眼科の臨床・基礎研究に従事する。
2.関連病院に赴任して眼科医師として診断及び治療の経験を深める。

この2つのどちらを選択するかは基本的に本人の意向によります。

大学院に進学した場合

名古屋大学の大学院を受験して合格すれば大学院に入学できます。大学院では、本人の希望を尊重した研究テーマ(臨床研究または基礎研究)に4年間従事します。大学院に入学した後も眼科の知識や手技のレベルが上達できるように臨床診療の機会を常に設けていますので、眼科臨床技術の習得が遅れる心配はありません。また、収入についても医局が常に考慮していますので、関連病院に赴任した場合に比べて著しく劣ることはありません。大学院に関しては、関連病院に赴任後の入局後3年目以降に入学することも可能です。

大学院を卒業した後は、さらに大学で研究・教育・診療に従事する大学教官を目指すか、あるいは関連病院に赴任するかのどちらかを選択します。これも本人の希望を尊重します。留学を経験した数多くの先輩からの助言により、やる気があればこのような留学の機会を得ることもできます。

関連病院へ赴任した場合

名古屋大学の眼科には、東海地区を中心に40以上の関連病院があります。研修2年目から関連病院に赴任した場合、臨床症例が豊富な病院に数年間赴任します。眼科診療技術の十分な習得ができたと判断された場合、今度は上級医師として後輩の指導にあたり、さらに眼科医長あるいは部長を担当していくことになります。

眼科手術シュミレーションシステム

眼科の手術の習得は、これまでは実際の症例に当たりながら少しずつ学んでいくのが常でした。しかし、眼球は非常に繊細な組織であるため、初心者がいきなり実際の患者さんの眼で学ぶことには限りがあります。したがって、実際の症例に当たる前に充分な練習を積む必要があり、これまでは豚眼を使用していました。このような初心者教育に役立てるために、名古屋大学病院内に設置されているメディカルxRセンターに「白内障・硝子体手術シミュレーターEYESI」を導入しています。この器械は非常に優れもので、実際の手術のように顕微鏡を覗きながら3次元画像で白内障、硝子体手術の練習ができ、眼科手術の基本を身につけることができます。この器械により、手術教育の質の向上に役立てることができます。

関連リンク 名古屋大学メディカルxRセンター

眼科手術シュミレーションシステム

担当教官 病院助教 野々部先生からのメッセージ

私の指導理念

各人の個性を伸ばす

研修の特徴と、大学病院で研修を受けるメリット

研修の特徴は、大学病院ならではの貴重な症例を実際に自分の目で見ることができることです。患者さんは必ずしも教科書通りの主訴や所見で来るとは限りません。実際に患者さんを診ることにより臨床力が養われていきます。また、名古屋大学では大学ならではの検査機器も多数あり、最先端の機器やそのデータを体験することにより、最新の医療に触れることができます。大学病院は研究をすることが一つの使命です。名古屋大学では手術を含めた臨床研究から基礎研究まで研究分野も多岐にわたっており、幅広い知識を得る機会がたくさんあります。

眼科医を目指すみなさんへ

名古屋大学は教官の数も比較的充足しており、専門性の高い診療を行っております。また雰囲気もアットホームで、すぐに雰囲気に溶け込めます。研修の中で手術、臨床研究、基礎研究などから興味のある分野をみつけて、自分が目指す理想の眼科医を追求してください。