片岡恵子先生 留学便り No.2

あの痛ましい爆弾テロ事件でボストンもすっかり有名となってしまいました。爆発のあったボストンマラソンは、アメリカ独立戦争勃発を記念したPatriots’ dayという州の祝日に毎年開催されます。州の祝日なので学校などはお休みですが、国の祝日ではないので病院や企業など一部は通常通り営業しています。当日、マラソンを観戦しようか迷いに迷ったのですが、結局仕事をしていて巻き込まれずにすみました。犯人との銃撃戦があった日も、運悪く早朝から仕事を詰めてしまっていたため外出禁止令が発令される前に出勤してしまい、ゴーストタウン化したボストンと戦車をラボから眺めながらアメリカの複雑な社会事情と銃社会の現実に衝撃を受けていました。

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[チャールス川沿いの桜]

それから約半年、テロの現場となったレストランもリニューアルオープンし、町は元の平穏を取り戻しています。事件前と変わることなく、私も多くの市民ランナーに混じってチャールズ川沿いのランニングを楽しんでいます。

一方、研究はというと、一進一退を繰り返しながら朧げながらも何か掴めそうな、でも核心に迫りきれず四苦八苦といったところです。先日、ギリシャのサントリーニ島で開催されたAegean retina XIIIという学会で発表する機会を頂くことができました。口頭発表のみの小さな学会でしたが、英語での初の学会発表とあって、時間通りに話せるだろうか、質疑応答切り抜けられるだろうかと緊張しながら学会に臨みました。ところが、お国柄でしょうか、ゆったりとした時間の中、8分の制限時間を超えて熱弁される先生が続出し、会は遅れに遅れ私の発表が回って来た頃には既に1時間ほど予定時刻を過ぎていたため、質疑応答は省略となってしまいました。ということで、無事(?)難なく発表を終えることができ、教授のMiller先生や上司のVavvas先生からお褒めの言葉も頂くことができ、不完全燃焼ながらも少しは経験値を上げることができたのではないかと思います。

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[カヤック]

ボストンの夏は7月がピークです。数日~1週間ほどムシムシとした猛暑日がありますが、日本の夏と比べると可愛らしいものです。そして8月に入ると徐々に涼しくなり秋の気配が感じられるようになります。ボストンからちょっと車を走らせるだけで美しいビーチやハイキングの出来る山々に出かけられるのもこの町の魅力の一つでしょう。日本ではなかなかお目にかからないカヤックなんかも人気のスポーツです。ついついラボに引きこもりがちがちな生活ですが、週末はアウトドアスポーツで頭と体をリフレッシュすることが出来ます。

さて、ボストンはそろそろ冬支度です。今年はチャールズ川が凍ってしまわないことを願いつつ、来年春に行われるARVOの学会で日本の先生方にお会い出来ることを励みに、さらに研究に邁進したいと思います。

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[ハイキング]