Miller先生 講演会

WOCの余韻の残る中、平成26年4月7日月曜日に、鶴友会館にてJoan Whitten Miller教授の講演会が開催されました。

Miller先生はハーバード大学医学部眼科で初の女性教授であり、マサチューセッツ眼耳鼻科病院、およびマサチューセッツ総合病院眼科部門主任教授も兼任されています。Miller先生らのグループは、加齢黄斑変性(AMD)に発生する脈絡膜新生血管(CNV)をターゲットとした薬剤、ベルテポルフィン(ビスダインR)を同定し、AMDに対する初の薬物治療である光線力学的療法(PDT)を開発、さらに臨床応用を実現しました。また、現在AMD治療の主流となっている抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の著しい発展も、VEGFがCNVに関与することを発見したMiller先生らの研究が基盤となっています。これらの多大な功績が認められ、Miller先生はハーバード大学医学部眼科教授に抜擢されました。

ご高名なMiller先生の講演を拝聴しようと、現在大学に在籍している医局員だけでなく、ポリクリIIの学生さん達、また関連病院に赴任中の大学院生らも詰めかけ、講演会は盛況でした。

講演では、実際の症例を提示しつつ、Miller先生が行われているAMDの治療法を示されました。網膜色素上皮剥離のみの場合は経過観察、網膜浮腫や漿液性網膜剥離などの滲出性変化のある場合に蛍光眼底造影を行い、CNVが同定された場合に治療を行うとのことでした。治療はCNVが中心窩外にある場合は網膜光凝固術、中心窩下および傍中心窩にある場合はラニビズマブ(ルセンティスR)の3回投与を行うとのことでした。また慢性的な網膜浮腫を伴う場合は、PDTを考慮し、PDTを行う場合はデキサメサゾンの硝子体内投与を併用するとのことでした。

次に近年ハーバード大学から発表されたAMDの臨床研究の論文を紹介されました。フルオレセイン蛍光眼底造影の漏出と最も相関の強いOCT所見は、網膜内の高輝度なflecksであること、予想に反して漿液性網膜剥離は相関が出なかったことを解説されました。また、ベバシズマブやラニビズマブからアフリベルセプトへの切り替えにより、AMDに対する抗VEGF薬の投与間隔が延長したことを示されました。

質疑応答では、ご高名な先生を前に皆緊張と遠慮があいまって一時沈黙となりました。しかし、一人が質問をすると、次から次へと手があがりました。低侵襲PDTを行う際はベルテポルフィンの量・照射パワー・照射時間のうちどの因子を調節すべきか、眼軸長がPDTの結果にどう影響するか、炎症と補体について、また未来のAMD治療はどこをターゲットにすべきかについて活発な意見交換が行われました。

講演の最後には、それぞれの大学で初の女性教授であるMiller教授、寺﨑浩子教授、そして眼科をローテート中のポリクリIIの学生さん達を囲んで写真撮影を行い、和やかな雰囲気の中、講演会は終了しました。

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