第67回 日本臨床眼科学会

日本臨床眼科学会。右も左もわからない眼科医一年目に初めて発表したのが一昨年の第65回の臨眼でした。質問にうろたえ、指導医をしていただいた伊藤先生をただ見つめていたあの頃から…そんなに変わらず、やはり発表前は緊張します。
前日にインドで行われていたASIA-ARVOから帰国し、横浜に前泊。そのまま発表という強行軍でした。初めての英語の発表をこなしたばかりだったので、発表に対する緊張はあったものの、専門的なセッションではなかったため突っ込んだ質問もなく、なんとか無事に発表を終えました。

いつもならここで解放感に浸るところですが、今年は補償光学眼底カメラ(rtx1:Imagine eyes社)のモーニングセミナーをお願いされたいたこともあり、まったく気が休まりませんでした。一緒にインドに行った後町先生(日本医科大学千葉北総病院)と細かな打ち合わせを重ねつつ、前日まで細かなスライドの調整を行い発表に臨みました。当日の朝に座長をしていただく京都大学の吉村先生から「時間はたっぷりあるから二人ともゆっくり喋るように」とアドバイスをいただいたものの、今まで立ったことのない大きな会場での発表は今までにないくらい緊張し、気づけばあっという間に発表を終えてしまい、二人の発表が終わったあと15分も時間が余っていました。会場からの質疑が出尽くした後もかなり時間が残っていましたが、座長の吉村先生が機転を利かせてご自身の補償光学に関する考えを交えながら壇上に上がっていた後町先生に質問をし、間を持たせてくださいました。さすが吉村先生…すごいなぁと思っていると、「じゃあ、次は川野先生に質問が…」とお声がかかりました。もうこれでお終いかなと気を抜いたので、とてつもなくあわあわしながら壇上に上がると、フロアからの質問にはなかったタフな質問をいただきました。想定外の質問だったので一瞬思考が停止しましたが、観念して(?)自分の考えをまとめてお話しすると、いい方向に議論が向かっていきました。普段はお話しできない吉村先生と質疑を通しながら、そこから時間いっぱいまでお話しさせていただけたことは非常に貴重な経験になったと思っています。
今回の臨眼では、毎日学会終了後に何らかの勉強会がありました。3日とも違う会で、会のたびに参加させていただいている会も、初めて参加する会もありましたが、普段お会いすることない先生方からご自分の専門分野の話だけでなく、留学の話、研究哲学、将来の目標…さまざまなお話を聞くことができ、学会そのものよりも個別の勉強会からの方が自分に強いモチベーションを与えてくれたような気がします。
初めて学会に参加した頃は発表すること、勉強することだけで精一杯でしたが、最近ではそれだけでなく、「いつもは交流することのできない先生方とお話をすること」が学会での大きな目的になっているように感じます。

最後になりましたが、学会参加にあたり、お忙しい中、多大なご迷惑をおかけした伊藤先生、このような貴重な機会を与えてくださり、日頃よりご指導をしていただいております寺崎教授をはじめ、医局の先生方に心よりお礼申し上げます。