中西 絢美

眼科医を志した理由

「見えるようになったら、なんでも好きなことしていいですか?」

「もちろん。若いのだから、これからなんでも、思いきりしていいんだよ。」

私が専門科として眼科を選択した理由として、医師としてのスペシャリティを持ちたい、学生実習や研修医の時に見た手術が美しかった、女性医師が多くロールモデルがある、等の現実的なことも考えましたが、芯にあるのは、診察室で行われたこの会話だと思います。文字通り、開けた視界によってその人の新しい人生が広がっていくような光景に、見えるということの重要さを改めて感じました。学生の頃、医療の日常とはマイナスをゼロに戻すだけプラスはない、という言葉を聞いた時は寂しく思いましたが、実際に働き始めると現状維持さえも難しいことなのだと知りました。でも、病気の治療はマイナスをゼロにするのが精いっぱいだとしても、見えるようになったその先に、その人が新しく生みだすプラスがあるのではないかと、ときどき冒頭のやり取りを思い出しては考えています。

名大眼科での研修について

大学での1年目は、検査や手術機械の操作等、慣れないことも多く大変でしたが、困った時にはいつでも教えて下さる温かい環境の中、身になる経験することができました。大学病院としての忙しさはありますが、最新の整った設備と豊富な症例、また専門分野の先生から直接教えていただける環境があるのは大学ならではと思います。次の進路として先に市中病院でcommon diseaseの経験を積むべきか、大学で継続するか迷いましたが、今年から大学院に進学することにしました。「明るく、楽しく、アカデミックに」臨床も研究も精力的にされている先生方を目標に、少しずつ研究も始めながら頑張っているところです。

眼科医を目指すみなさんへ

近年の臨床研修制度では、眼科は選択科であり、卒後研修ではローテートすることなく終えることもできますが、様々な全身疾患と関わりがありその重要なサインの一つを示してくれることも多い眼科疾患について、一度は研修されることをお勧めします。もちろん、そこで小さくも奥の深い世界に興味がわいたのであれば、ぜひ一緒に働けるのを楽しみに、お待ちしております。

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入局同期の誕生日会にて
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同期の先生とお互いを被験者にして検査の練習中