眼科医への道のり ~植谷 留佳~

私が眼科医を目指した理由

研修医期間中に眼科をローテートした際、白内障手術のシュミレーション実習が大変面白く、眼科に興味を持ちました。眼球は直径約2.5cmの小さな臓器ですが、その中に神経、筋、血管と様々な組織が含まれています。奥の深い眼科学を追求したいと思い、眼科医を志しました。

私のこれまでのキャリアについて

研修医終了後、市中病院で2年間一般眼科を学び、その後大学院に入学しました。

大学院を卒業後、大学のスタッフとなり、黄斑疾患の専門外来を担当しています。

仕事のやりがいや、仕事をとおして得たもの、経験を経て大切に思う事

一口に眼科医といっても、どこに勤務するかで仕事内容は異なってきます。

私の眼科医人生のスタートは市中病院で、主な仕事内容は患者さんの治療であり、重症例は大学病院などの専門機関に紹介するというスタンスをとっていました。

大学に勤務する様になると、今度は自分が重症例を受け取る立場となり、最後の砦として、患者さんに最良の治療を受けて頂かなければ、という責任感を感じて仕事をする様になりました。市中病院から大学にうつってもすぐに知識と経験が増えるわけもなく、論文を読んだり、学会に出席したりして、勉強をしながら少しずつ専門家になってゆきました。もちろん今でも、困る症例に遭遇することはあり、そのような時はまず名古屋大学の医局内でディスカッションをします。それでも解決しない時は、学会を通じて知り合った全国、また海外の専門家の先生に相談をします。専門家みなの知識や経験を共有すると、自分では思いもよらなかった良い治療法がみつかることもあります。

どんな仕事でもそうかもしれませんが、「人と人とのつながり」が大切だと実感しています。

これから先、私が目指すもの

私は眼科医で、扱っている器官は小さいですが、眼だけでなく、その患者さん全体を診ることのできる医師となるのが目標です。患者さんの社会面、経済面、精神面にも配慮して、個々の患者さんに合った治療方針を提示できる医師になりたいです。

また名古屋大学で行っている最先端の治療を、全国、世界に向けて発信してゆきたいです。

眼科医を目指すみなさんに伝えたい事

眼科は扱う機器の専門性が高く、他科の先生が片手間に眼の診察する、ということがないため、一旦眼科の技術を身につけると、それは一生の宝となります。

女性の先生が、出産・子育てで一旦職場を離れても、復帰が比較的容易です。私は研修医の時に、家庭の事情で10年間休職していた先生が、フルタイムで市中病院に復帰するのをみて、眼科に大きな魅力を感じました。
また将来の選択肢が豊富で、市中病院で働く、開業する、私立の病院で勤務する、留学する、研究職につく、など様々な道があります。最大の魅力は、自分のライフスタイルに合わせてそれらの道を行き来することができるということです。眼科は専門性の高い科ですので、設備さえ整えれば、開業しても、大きな手術など、勤務医と変わらない診療をすることが可能です。開業後も精力的に学会活動をされている先生も多数いらっしゃいます。またしばらく研究職についていて臨床に戻ることも、研究をしながら臨床をすることも可能です。

ぜひ、眼科医になって下さい。一緒に頑張ってゆきましょう。