吉田統彦先生(前衆議院議員) 特別講義 「変革そして困難な時代の日本の医療政策を考える~医療イノベーション・再生医療とPMDA改革・薬事法改正~」

前衆議院議員であり、名古屋大学眼科医師でもある吉田統彦先生に「変革そして困難な時代の日本の医療政策を考える」という題でご講演いただきました。どの話題に関しても吉田先生が眼科医としてだけでなく医療界全体のことを考え政治活動されていたことが伝わってくる内容でした。

医療機器の承認に関する話題では日本が世界でも有数のデバイスラグがあるということで吉田先生が中心となり既存の体制の見直しにより安全かつ迅速な新機器の承認が可能となるように尽力されたことを教えていただきました。ただその中で日本の規制が厳しいということが安全性の担保においてはよい場合もあり、ただ表面的に規制を緩めるだけでなくそのことによる弊害も考慮しないといけないと思いました。

再生医療に関しては日本でも始まっているiPS細胞の臨床応用への挑戦に対して多大な予算がついていることはすばらしいことであり、なかなかすぐには大きな成果はあがらないかもしれませんが、アメリカでのStargardt病に対するES細胞による研究とともに将来につながるような結果が是非とも出てほしいと思います。

今話題のTPPに関しても今当たり前だと思われている日本の医療水準での治療や検査を受けようと思ったら日本の医療関係者、政治家が予想する範囲を超えるような異常な保険料の増加が起きる可能性があり、参入に際して日本は十分な準備対策ができているのか不安な面が多いように思いました。

ただし、年々医療費が増加しているのは事実でアメリカのように中産階級が癌にかかると破産してしまうような制度はよくないですが、費用対効果からみていたずらに多額の医療費のかかる治療やあまり意義の大きくない投薬や通院に関してはなんらかの規制をもうけることは大切と思いました。

我々にとくに身近なこととして私たちの研究で身近な科研費基金化、また臨床面ではクラークさんの増員に尽力していただき非常にありがたいことだと思っています。

終始、政治に詳しくない私でも理解しやすいようにわかりやすく講義いただき非常に勉強になりました。

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吉田統彦先生講義資料(PDF)

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