眼科手術シミュレーションシステム

眼科手術シミュレーターの導入

平成18年に医学部に設置された「スキルス&ITラボラトリー」は、蘇生教育、超音波、顕微鏡、臨床実習用の設備はもちろんのこと、技能だけでなく態度教育の充実のために医療面接や身体診察のためのトレーニングセンターを備えていましたが、外科治療分野、眼科、耳鼻科などのシミュレーターを備えていませんでした。

この度、平成25年4月に数多くの新しいトレーニングマシーンを導入し、クリニカルシミュレーションセンターを開設しました。

眼科分野においても白内障・硝子体手術シミュレーターEYESIが導入されました。

「白内障・硝子体手術シミュレーターEYESI」体験レポート

杉田糾先生と井口優子先生に、実際に「白内障・硝子体手術シミュレーターEYESI」を使ってみた感想をレポート頂きました。

シミュレーター体験記

文責:杉田 糾

眼科手術教育用シミュレーターEYESIが本大学に今春導入され、自身体験する機会を得ましたので、ここに報告いたします。

EYESIは模型眼・手術用顕微鏡様の立体視可能なモニター・模型眼に挿入して使用する各種マニピュレーター類とこれらを統合して仮想現実の手術環境を計算描出する本体とからなっています。黒い軟質プラスチックの模型眼にマニピュレーターを挿入して顕微鏡様の双眼モニターをのぞき込むと、目の前には3Dコンピューターグラフィックで描かれた眼球が実際の手術で術野を見るように現れ、マニピュレーターを操作すると、目の前では実際の手技と同様に眼内での器具と同様の動きが行えたり無理な力がかかって眼球が変位したりという様なリアルな仮想現実環境を体感することができます。白内障手術・硝子体手術のいろいろなパートに対応したモードを備えており、様々な手術手技の一つ一つを、白内障手術・硝子体手術それぞれで、難易度のパラメーターを変えることにより多数のバリエーションで学習することができます。この最先端のシミュレーターは日本でもまだ導入されている施設は少なく、本学は日本で導入された2番目の施設であると伺っています。

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眼科手術シミュレーター

実際に体験してみると、まず眼球とその挙動のリアルさに驚かされました。模型眼の中に器具を挿入すると同時に仮想現実の中で眼内にセッシが出現し、自分の動かすままに目の前で眼内をセッシが動く様はゲーム感覚で純粋に面白くもあります。私は白内障手術モードで前嚢切開・超音波乳化吸引のパートと硝子体手術モードの内境界膜剥離パートを触ってみたのですが、模型眼に余分な力がかかれば実際と同様に眼球が変位し、同時に眼底からの徹照が減少して術野の見え方がリアルに変化するという、拙い動きをすればするほど術野の視認性が低下するあたりは非常によくできています。眼内での操作に気をとられ創口に外力をかけてしまうことにより眼球をシフトさせて眼内操作を困難とさせてしまう、手術初心者の陥りがちな魔のスパイラルが容易に体験でき、セッシで膜をつまみ動かした際の挙動のリアルさとあいまって、眼内器具操作の習得には非常に有用と思われます。

一方で、実際に挿入されたマニピュレーターは、模型眼挿入口での接触・抵抗はあるものの、入った模型眼内では中に浮いている状態であり、当然のことながら実際は眼内組織から感じる微細な触感はありません。3Dの顕微鏡様モニターの見え方も非常によくできていますが術野の浅深に関する立体感は実際の手術顕微鏡と比べて若干の甘さを感じる部分があることは事実です。このあたりに関しては実際手術に使用する手術顕微鏡を用いたドライラボや豚眼ウェットラボの方が優れているように思われます。

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眼科手術シミュレーターの画面

欠点も述べましたが、EYESIは総じて非常によくできたシミュレーターです。豚眼ウェットラボにすぐに取って代わるということは難しい部分もありますが、豚眼を用意する必要なく比較的容易に使うことができる利点もあります。触りたいと思わせる仮想現実の面白さもあります。若手眼科医の手術研修に役立つこと、また、眼科手術の楽しさの一端を多くの学生に体感してもらって一人でも多くの眼科医が生まれることを期待しています。

EYESIという手術シミュレーションマシンが導入され、体験してきました

文責:井口 優子

まずは白内障から、とおそるおそる始めました。

まずオペレーターは義眼が置かれた顕微鏡の前に座ります。ペンのようなスティックを義眼の中にいれ、顕微鏡をのぞくと!リアルなマイクロサージャリーの世界が広がっているではありませんか!!

核を削ったり割ったり、押す感じや振動もリアルに再現されていて驚くばかりです。削ったあと新川橋フックをいれ、分割。最後プリッという感覚とともに上手に分割されました。しかし、ちょっと調子に乗ってPhacoしていたらCCCにTearが入ってしまい最初の白内障シュミレーションオペが終了しました。

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ベテランサージャンもびっくりするくらい実際の手術に近いシミュレーションが可能であり、学生、新入医局員の白内障、硝子体の手術練習に大いに貢献すると期待される。

硝子体手術も部分にわけて練習できます。ILM-peelingをやってみました。レベルを選ぶことができ、初心者向きのレベルではICGの色が濃くなります。失敗するとどうなるの、というギャラリーの声に答えるべく、試しに網膜をつついてみると眼底出血。英語でなにやら注意もされました。自分の手術を再生することもできるそうです。現代技術のレベルの高さを実感させられるマシンでした。

この器械が身近にあり頻繁に練習できる環境は素晴らしいです。学生さんが興味をもってくれるきっかけになるだけでなく、初心者の手術の練習にとても向いていると思いました。皆さんもぜひ利用して実感してみてください!

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