「大学院生の鈴村医師・兼子病院講師の論文がDiabetesに掲載されました」
大学院生の鈴村医師・兼子病院講師の論文がDiabetesに掲載されました。
この論文では、神経栄養因子の中でも糖尿病で低下すると言われているBDNFに注目し、ω3脂肪酸の1つであるエイコサペンタエン酸(EPA)の内服により視床下部でのBDNF産生が改善されるという報告を元に、EPA内服による眼内でのBDNF産生の改善と網膜機能改善の可能性を検討しました。
DRでBDNFを眼内で産生するMüller細胞が障害され、BDNFの産生が低下することで網膜内神経細胞であるAmacrine細胞の活性が低下するという一連のメカニズムに対して、EPAの内服によるBDNF産生改善と網膜電図所見の改善を認めました。また、EPAは体内で代謝された後、特に18-HEPEという形で作用していることを発見しました。このことから、EPA内服によりDR早期の網膜神経障害が抑制される可能性が示唆されました。
Omega-3 Fatty Acid and its Metabolite 18-HEPE Ameliorate Retinal Neuronal Cell Dysfunction by Enhancing Müller BDNF in Diabetic Retinopathy.
Suzumura A, Kaneko H, Funahashi Y, Takayama K, Nagaya M, Ito S, Okuno T, Hirakata T, Nonobe N, Kataoka K, Shimizu H, Namba R, Yamada K, Ye F, Ozawa Y, Yokomizo T, Terasaki H.
Diabetes. 2020 Feb 5. pii: dc190550. doi: 10.2337/db19-0550. [Epub ahead of print]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32029482